「じゃあ、ここで。それとさ、もう今日で最後にしてくんない?」

駅に着き、俺は朱里の目をまっすぐに見つめる。

「俺、そこまで朱里と仲良くしたいわけじゃないし。正直、振られた時に言われたことで、かなり傷ついたんだよな。だからさ、もうやめてほしい」

「な、なんで……そんなこと、言うの?」

朱里の大きな目に、みるみる涙がたまっていく。

罪悪感がないと言えばウソになる。でも、正直迷惑でしかないから、はっきり伝えたほうがいい。

「あたし、あたしは……草太君のことがっ、好き、なんだよ」

はっきりと告白されたのはこれが初めてで、もしかしたらそうなのかもって予想はしてた。

でもさ、朱里に好きだと言われても、心にひとつも響かない。

ドキッともしない。

ぶっちゃけ、久しぶりに会って、この短期間で俺を好きになったということが不思議でならない。

離れてた間も、連絡を取ったり、会ったりしてたわけじゃないのに、なんでいきなり。

だけどあの時朱里に振られてよかったと思ってる。

そうじゃなきゃ、亜子と出逢えなかった。

俺が心からほしいのは、亜子だけだ。

「ごめん。朱里の気持ちには応えられない」

「……っ」

静かに涙を流す朱里に、同情する気持ちすら起きない。

俺はこんなに冷たい人間だったのかとビックリする。