「亜子ちゃんと喧嘩でもしたの?」

ある日の放課後、朱里と帰るのが日課のようになった時。

突然そんなことを聞かれた。

「は? なんで?」

最強に機嫌が悪かった俺は、朱里に冷たい目を向ける。

もうなんだか、全部がどうでもいい。

亜子とはあれからひとことも話してないし、必要以外俺のほうを振り向くこともない。

完全に終わったんだと、告げられているようなもんだ。

「あれ? なんだかほんと機嫌悪いね。もしや、図星だったりして?」

「だったら、なんなんだよ?」

イライラしてつい大きな声が出た。

すると、今まで強気だった朱里の顔が一瞬でこわばったのがわかった。

「そ、そんな言いかたしなくてもいいじゃん」

「わり」

これはただの八つ当たりで、朱里にはなんの関係もないことだ。

それなのにイライラをぶつけてしまった。

なにやってんだ、俺は。

ここ最近、亜子のことでずっとイライラしてるのが自分でもよくわかる。