そうだ。ちゃんとまどかに話さないと。


「まどかあのね…」


「ここでは他のお客様にもご迷惑がかかりますし、一度ご自宅にもどりませんか?そちらの彼もご一緒に」


「おい。幹」


「三月様、車でお待ちしていますのでどうぞ着替えてきてください。なるべく早急に…」


あ…。これなんとなくわかる。


助けてやったんだから、さっさと着替えてこいって言われてる。


「すぐに着替えてきます!まどか待っててね」


店長や清香に謝り、急いで着替えた私はお店の前に止まっている車に乗り込んだ。


「お待たせしました!」


後部座席に乗ると、ぐちゃぐちゃになった髪をまどかが直してくれた。


「ありがとうまどか」


前を見ると、零さんの不機嫌な顔が鏡から見えた。


私また怒らせちゃった。


あっという間に家に着き車から降りると、まどかは目の前のマンションに目を見開いた。


車を駐車場に停めに行った幹さんが戻り、最上階にある部屋に着くまでまどかはキョロキョロと落ち着きがない様子だった。


「なぁ、その人に騙されてないよな?」


私の服の袖を掴んでたまどかは恐る恐る小声で聞いてきた。


「騙されてないよ。失礼なこと言わないで」


そりゃあ私だって最初は信じられなかったよ?


傘を渡した相手が社長で一目惚れされたなんて。