「三月まゆさん、この前は傘ありがとう。お陰で助かったよ」


「い、いえ…。困ってるようでしたので…。あ、あの!社長さんとは知らず、ナンパと間違えてしまって申し訳ありませんでした!!」


「いいよ。俺も悪かったし。でもまさかナンパに思われるとは思ってなかったから、笑っちゃったけど」


そう言ってまた笑いだす。そんなにツボだったの?てか、それだけの用件ならすぐに解放してほしいんだけど…。


「いいね。その困り顔も。でもやっぱり俺は笑顔の三月さんがいいな」


「ゴホッ…ゴホゴホッ…なっ、なに…」


なに言い出すんですか!?この社長様は!!お水変なとこに入ったじゃん!!


「ごめんごめん。大丈夫?」


「だ、大丈夫…です。それよりもそんなこと誰にでも言ったらダメですよ。本当にナンパに間違われますから」


「誰にでもじゃなくて君だから言ったんだけど…」


「へ?」


私だから…って?


「三月さん、俺と付き合いませんか?」


………………………………………はい?


「付き合うってあの…」


「ダメ?好きなやついるとか?」


「いやいやいや!好きな人はいませんけど、今日初対面ですよ!?」


「傘をくれた時に一目惚れしたって言ったら信じてくれる?」


か、傘って…あんな…ただ傘を渡しただけで?