零さんの部屋の前に着くと、幹さんはノックもしないで部屋の扉を開けた。


「零邪魔するぞー」


ズカズカと部屋に入る幹さんに対し私は、部屋の中に踏み入ることができずにいた。


チラッと零さんを見れば、怖い顔で幹さんを睨んでいる。


やっぱり急ぎの仕事じゃなくてもだめに決まってるよね!幹さん連れてさっさと出ていかないと!!


そう思うけど部屋に入る勇気はないし、女嫌いの幹さんに無闇に近づくのも後が怖い。


「おっ、やっぱここにいた。あんたのくまいたぞ」


不機嫌な零さんに気づいているのかいないのか、幹さんはカーテンごと持ち上げてリモコン立てのくまを私に見せた。


あ…零さん飾ってくれたんだ…。でもなんでカーテン?


「なんとなくわかってたけどさ、零これカーテン纏めるやつじゃねーから。切り株の重さで床にずり落ちてんじゃん」


にやにやと話す幹さんの言葉で納得した。零さんリモコン立てじゃなくてカーテンを纏めるやつだと思ったんだ。


可愛いなぁと頬が緩みそうになる。


零さんはというと、幹さんの言葉に驚き目を丸くしていた。


「これはな、こうテーブルに置いてリモコンをこのくまに抱きつかせるリモコン立て。つーか小さい頃にも言ったじゃん。こういうタイプ全てがカーテン纏めるやつとは限らねーって」


幹さんはカーテンからくまを外し、零さんに説明しながらテーブルに置いたくまにリモコンを抱き締めさせた。