そりゃあ、キスしたいなとは思ったけど。


零さんの行動は心臓に悪い。ドキドキしすぎていつか破裂しちゃうんじゃないかと思ってしまう。


館内を歩いていると、どこからか子供の泣いてる声が聞こえた。


「零さん、ちょっと待っててください!」


「え?まゆ!」


繋いでいた手を離し、声の方へと向かうと小さな男の子がその場に座り込みながら泣いていた。


「君、大丈夫?パパとママとはぐれちゃったのかな?」


「サメみてたら、パパとママいなくなっちゃた…わぁぁぁぁん!!」


「そっか、悲しかったね。でも大丈夫だよ。お姉ちゃんが一緒に探してあげるからね!」


「うん…ありがとう、おねぇちゃん」


男の子を抱っこして、パパとママを探そうとすると零さんに頭を撫でられた。


「まゆ、俺も探すからその子貸して」


零さんに男の子を預けると、こっちの方が見つけやすいだろと、男の子を肩車した。