「おいで。あいつら来るまで日向ぼっこしてよ」

「し、失礼します……」



ほんの少し距離をあけて、彼の隣に座る。

触れそうで触れない肩。彼との間に保った微妙な距離に、緊張してしまう。



ちら、と横目で隣を見ると、真紘先輩はなんてことない顔でスマホをいじっている。

けれど私にはそんな普通に振る舞う余裕はなくて、ドキドキと鳴る心臓を落ち着けるように深く呼吸をした。



そんな私をなだめるように、背後の大きな窓から入り込む風がまた髪を揺らす。



あ……心地いいかも。

少し涼しい風。あたたかな日差しが肩から上を照らして、ぽかぽかと温かい。



その心地よさに、次第にうとうととし始め、段々と瞼が重くなる。

寝ちゃダメ、起きてなくちゃ……。そう思うけれど睡魔に勝てず目を閉じてしまう。