「す、すみません。いきなり脱ぐから、びっくりしちゃって……」



見てしまわないように、両手で顔を覆い隠す。そんな私の反応に、彼は不思議そうに言う。



「別に照れるようなものじゃないでしょ。男の裸くらい」

「照れるものなんです!」

「そうかなぁ」



しばらくそのままでおり、もういいかなと指の隙間からちらりと様子をうかがうと、真紘先輩は体を拭き終えちょうどTシャツを着るところだった。

かすかに見えた腹筋はしっかりと鍛えられ引き締まっている。



み、見てしまった……。恥ずかしい。



「あっ、濡れたシャツ干しておきますね」

「あぁ、ありがと」



恥ずかしさを誤魔化すように、私は窓を開け、窓のふちにワイシャツをかけるように干した。

空は青く、昼間ほどではないとはいえ太陽はまだ眩しい。これなら多少は乾きそうだ。



ふわりと吹いた爽やかな風に、髪が揺れる。

すると、いつの間にか隣に立っていた真紘先輩は少し乱れた私の前髪に触れ整えてくれた。

不意打ちで近づく距離に、いつも胸は音を立ててしまう。



真紘先輩はそっと視線を窓の外の晴れ空へ向けた。