私、 水沢 明音(みなざわ あかね)高校1年生になった!
なのですが…
ちらっと腕時計を見る。8時10分をさしている。
(うあああ!あと10分でHR始まるよおお!)
下り坂を駆け下りる。家から学校まではバスに乗って行くと5分程度。
だが、乗り過ごしたため徒歩で行っている。(正確には走って)
「はぁ、はぁ、はぁ、」
(入学式の次の日に遅刻とかありえないよ~!)

「つ、着いたぁ…」
(く、苦しい…走っちゃったから…)
息切れが止まらない。
(ちょっとやばいかも…ふらふらする…吐きそう……)
意識がもうろうとしてくる。目の前が真っ暗になった。
誰かの声が聞こえる。
でも答えるほどの力は残ってなかった。

目が覚めた。
見慣れない天上にベッド。頭がズキズキと痛む。
ゆっくり体を起こす。見る限り保健室らしい。
「はぁー…」
ジャーとカーテンが開いた。
「あ、起きた?大丈夫?」
出てきたのは先生でなく男の人だった。
「あ、えと大丈夫です。」
「あー起きたね」
後ろから保健室の先生が出てくる。
「もう大丈夫そうね。この彼があなたを運んでくれたのよ。」
「そうなんですか!?…ありがとうございます。」
(絶対重かったよね…)
ズーンと気分が落ちた。
「君、何組?」
男の人がベットに腰掛け尋ねてきた。
「1年5組です。」
「え?俺も一緒だ。」
「そうだったんですか!」
驚いた。物凄く大人っぽくて先輩に見えた。
「まーね。教室行く?もうちょい休んどく?」
「もう大丈夫です。行きます。」
そう答えると彼がプッと笑った。
「同い年なのになんで敬語?w」
「あれ、ほんとだ」
「気づいてなかったの?」とまた笑った。

教室の前。ドアを開けるのをためらう。
(あああ。完全に遅刻だよ…怒られちゃうよ…)
ちらっと彼の方を見る。目が合った。
すると彼は勢いよくドアを開けた。
(えええ!心の準備……!)
「すみません。遅れましたー」
案の定先生はお怒りだった。顔を真っ赤にして怒る。
「初日から遅刻とはいい度胸だな…水沢明音、笹倉湊……!一応聞こう。なぜ遅れた。」
(笹倉くんっていうんだ…というか遅れたの、私のせいだよね…)
「寝坊しましたー」
彼はさらっと答えた。…けだるそうに。
「お前……!……水沢は?」
「……同じです…」
先生は堪忍袋の緒が切れた。
「お前ら反省文を書け!あとこれから1週間放課後掃除だ!!」
「すみませんでした。」と声を揃えて謝った。