「あ、荷物なら僕が取ってくるよ」
そう言って外に出て行ったのは和人くん。
「はぁー、疲れたぁ!」
シートベルトを締める。
ふと暁人くんを見ると、その表情は無。でも、身に纏う空気がピリピリしている。
「愛莉子ちゃん、これだよね?」
「そうそう、和人くんありがとう」
双子はどっちもイケメンだけど、私は暁人くんの方が好み。
付き合っちゃうか!
そう思って暁人くんを見るが、彼はまだ遥華を離さない。
「おい、遥華!遥華!」
必死に遥華に呼びかける。
……気に食わない。
暁人くん、なんで遥華なんて見てるの。
私があなたのこと気に入ってるの。
こんなに可愛い、しかも金持ちの娘に好感持たれてるんだから、感謝しなさいよ。
あっ、もしかして。
照れ隠し?
私を見た瞬間好きだって自覚したからこそ、遥華の方に行ったのかな。
きっとそうだよ、うんうん。
暁人くんったら、ツンデレだなぁ。
「ふふっ」
私は笑いを抑えきれない。
「なぁ和人」
「ん?」
「なんで愛莉子さん笑ってるの?」
「さぁ、僕には分からないよ」
双子の間でこんな会話が繰り広げられてるなんて、私は知りもしなかった。