そんな劇的な出逢いから、1ヶ月が過ぎ…もうすぐ冬休みに入るという頃になったのだけれど。
「先パイ!先パイ!怜奈先パーイ!」
やっと、名前で呼ぶことも許されるようになって、
「なんだ、崇矢。どうした?」
なんて、俺のことを下の名前で呼んでくれるようになったのに…。
「一緒に、ご飯食べましょー?」
なんだかんだと、理由を付けては先パイの近くに行こうとするのにも関わらず。
「もう!賀上くん!!今日は私達が怜奈サマとご一緒させて頂くんだからね!あっち行ってよ!しっ!しっ!」
と、先パイの取り巻き…というか親衛隊?の子達に阻まれ、一向に距離を縮めることが出来ないでいる。
あー…今日もだめかぁ…。
と、がっくり肩を落として「ごめんね」とその場を後にする。
それを見ていた同じクラスの女子が何人か寄って来て、一緒にご飯食べようと誘ってきたけれど、とてもそんな気にはなれなかった。
しゅん、と萎んだ心は他の子なんかじゃ元に戻せない。
ダメなんだ。
先パイじゃなくちゃ…。
先パイじゃなきゃ…。