「まるで、仔犬、だな…」

「え…?」

「いや。なんでもないよ…そうだ。私の自己紹介がまだだったな。私は池上怜奈キミの1つ上の学年。こうして出逢えたのも何かの縁だろうから、何かあったらいつでも私の所においで?じゃあ、ここで」


ひらり。


いつの間にか校門まで着いていて、そこで制服のスカートをひるがえして校内へと進んで行く彼女。


池上、怜奈さん。

怜奈さん…。

怜奈さん…!


俺は何度も教えてもらった彼女の名前を心の中で繰り返してから、緩んでしまった口元に手を当てて…。


「マジで、心臓爆発しそうなんですけど!」


と、人目も憚らずに悶絶した。