「あのっ!俺、賀上崇矢って言います!」
思い切っての自己紹介。
かつて、こんなにも緊張する自己紹介があっただろうか…。
ドキドキし過ぎて、口から心臓が本当に飛び出しそうだ。
そんな俺に向かって彼女はにこにこと微笑んだまま、こう切り替えしてくる。
「うん。知ってるよ」
「………へ?…な、なんで…?」
俺は、その一言に、一瞬ポカンとしてしまった。
すると、彼女は、可笑しそうにくすくすと笑って言葉を続けていった。
「時間もあるから、歩きながら話そうか。キミは、大廻(おおば)高校1年生の賀上崇矢くん。入学当初から長身のイケメンがいると女子たちが騒いでいたから。その上、キミは既にバスケ部のエースだろう?そんな子が有名なのは当然のことだよ」
あぁ、この笑顔可愛いなぁ、綺麗だなぁ、抱き締めたいなぁ…そんな不埒なことを考えながらも、何気に目一杯褒められて、余計に顔が熱くなる。
「や、でも、俺全然そんじゃないよ?ドジだし、部活の先パイには、お前は天然だって言われるしっ!」
ぶんぶん!と首を振って否定をすると彼女は柔らかく微笑んだ。
そして、小さく呟く。