「あ、こら。ばか、急に起きたらダメだ。ゆっくり、そう…ゆっくり…」
「え、あ、…はい…って、えぇ?!」
道理で、周囲の視線が痛い訳だ。
だって、今俺は、さっき一目惚れしたばかりの子の膝に、所謂「膝枕」をされている状態で、その彼女はキラキラとした笑顔のまま、俺の顔を見下ろしているのだから…。
「わ…っと、あのっ!ご、ごめん!!」
「具合が悪いんだから。何も謝ることはない。…さ。そろそろ最寄り駅だけど…起きられそうか?」
「う、うん。あの…ありがと…」
「ふふ。元気が戻ったようで良かった…じゃあ、また学校で…」