放課後

高校最後の夏の6月下旬、梅雨が明け太陽の光がよく当たる席で私、平野由衣は友達の飯田早苗を待っていた。
まだ教室に残っているのは、女子生徒2人と私だけ。すると女子生徒2人は面白い話をし始めた。
それは、この町にある古い言い伝えの事だった。内容は町外れにある神社の祠に呪いの本と呼ばれる本があるというものだった。昔はあの本により多くの人が呪い殺されたらしい。本当に存在するのかは分からないがその時代に大量死があったのは本当の話らしい。
私は、昔からホラーやオカルト系の話が好きだったため少しその本の話に興味を持っていた。
そんな話を聞いていると早苗の楽しそうな声が聞こえてきた。誰かと一緒らしい。廊下に出てみるとそこには、早苗と私達の幼なじみの秋島幸太がいた。幸太は誰にでも優しく皆の人気者だ。
実は、私は幸太の事が好きで早苗に手伝ってもらいながらアプローチ中。幸太は鈍感でなかなか気づかないけど。早苗は私に気づき駆け寄って来た。
「ごめん、委員会遅くなっちゃって」
と、私に謝罪する。すると後ろにいた幸太も
「俺がいたけどなかなか終わらなかったんだ。ごめんな」
と、言ってくる。私は
「もういいから、早く帰ろっ!」
と、言った。幸太は、家の方向が違うからすぐ別れる事になり、2人で帰る事になった。話題は早苗の親の話になっていた。
「そういえば、来月は早苗の親の命日だね」
早苗は静かにうなずく。早苗の親は10年以上前に事故で他界してしまい、今は叔母さんの家に住んでいるらしい。気まずい感じになってしまったから、私は話題を変えようと思い、今日の放課後に聞いた呪いの本の話をした。早苗も呪いの本の事は知らなかったらしく、驚きを隠せない様子だった。そして、私は早苗に
「今からその町外れにある神社に行ってみない?」
と、誘ってみた。早苗も呪いの本が気になるのかすぐに行くと答えを出した。