「美野田さんが教えてくれなかったら、私、篝君が幸さんのことを好きだなんて知らないままだった」

 店内ではいつも笑顔の双川さんだが、篝さんのことになると、感情が顔に出やすい。

「幸さん、優しいし、良い先輩だと思ってましたけれど……何か、ちょっと嫌な感じですね……」

「いや、でも、嫌な感じって、いよりは何も悪くないですよ」

「いより? 美野田さん、いよりって呼ぶくらい、幸さんと親しい仲なんですか?」