~美野田駿~

 変わらず、篝さんは俺の一歩先を歩く優勢で、俺はただ劣等感を感じていた。

 そんな中、八月末に篝さんの転勤が正式に決まった。

 転勤先はここから飛行機で一時間半、新幹線で五時間の距離にある街だ。

 正直、どうするんだろ、とは思う。

 さすがにいよりを連れて行くわけにはいかないだろうし、幸い二人が付き合っているわけでもなさそう。

「美野田さん、ちょっといいですか」