俺にとっては良かったものの、どうやら空気が読めないらしい一葉ちゃんには、今回助かった。

「ほら、いよりも座りなよ。ね、皆何か頼もうよ。お腹空いた」

 いよりは俺を一瞥した後、恐る恐る一葉ちゃんの隣に腰かけて、言いようのない表情を浮かべる。

 やはり、いよりの気持ちが簡単に翻ることはなく、いよりは俺のことを嫌っている。

 友達になりたいと一方的に言って、勝手に近付こうとする俺を、いよりが受け入れようとしてくれたことは、ただの一度もない。