~美野田駿~

 楽しみにしていたその日は、雨だった。

 Mレストランでの食事会を終えた後、俺は篝さんと式場前で別れて、約束のある場所に来ていた。

 色のないむさ苦しいつまらない日常の中で、俺は今日を楽しみに待っていたのだ。

「駿さん、私を誘うなんて、珍しい」

 夕刻、待ち合わせた洋食店にて、前に座るのは一人の若い女性。

「一葉《かずは》ちゃん、来てくれてありがとう。会うの久しぶりだね」

「急な誘いだから、ビックリしたよ。一体何年ぶりだろ……」