「うん、それでね……」

 と言いながら、涼香の奥に見えた幸さんは、おぼんにグラスを乗せて、せかせか動いている。

「ねぇ涼香、幸さんの手伝い、しなくていいの? 大変そうだよ」

「あ、ホントだ。駄目だね私、ちょっと行ってくる」

 昨日は幸さんと帰路を共にして、普段見ない表情を垣間見て……俺は彼女のことを、どう思っているのだろう。

 幸さんの笑顔が、見てみたいな、とは、思ってるんだけどな。