「幸さん、大丈夫?」

「大丈夫です……私は」

「ホントに?」

「はい、ホン、トに。……大丈夫」

 もう風俗店のエリアからは遠ざかったし、今一緒にいるのは、駿ちゃんではなく篝さんだ。

 篝さんは、駿ちゃんじゃない。

「篝さん、急ぎましょう。電車……間に合わなくなっちゃう」

「……泣きそうな顔してる」

「……え?」

「幸さん、辛そう」