吸い込まれるようにフラフラお店に入っていく人を見かけるのも、怖い。当時が、その行為が、黙々とイメージされ、私をギリギリ苦しめる。

 どうしよう、どうしよう、嫌だ、苦しい。

 ここから逃げ出したい、思い出したくない、見たくない、怖い、こわい、コワイ……。

「あの、篝さん、わた──」

「幸さん、こっちの道通りましょっか」

 一人で違う道を帰ろうかと思っていると、被せるように言葉を重ねられ、篝さんは道を左に曲がってしまった。