ここは友達だから、と割り勘したお金を支払いお店を出ると、外はシトシト雨が降っていた。
私は赤い傘を、篝さんはグリーンの傘を差し、駅に向かう。
金曜日の街は、いつもより華やかで……少し怖い。
なぜ怖いかと、いうと、この道をこのまま真っ直ぐ行けば──風俗店の立ち並ぶエリアに入ってしまうからである。
肉バルに向かう時は随分回り道をして、時間をかけて肉バルに辿り着いたのだが、篝さんも一緒だと付き合わせるわけにもいかない。
──でも、とても、とても、怖いのだ。
この道は、このエリアは、駿ちゃんの浮気が発覚してからは、一度たりとも近付いていない。怖くて、仕方がなかった。