紅林さんの胸の中でまどろんでいると、紅林さんが遠慮がちに聞いてくる。

「今日これからなんだけど、よかったら一緒に来てほしいところがある。可憐に用事がなければなんだけど。」

「うん?どこへ行くんですか?」

「俺が育ったとこだよ。」

そう言って連れてこられた場所は、紅林さんがお世話になっていたという児童施設だった。
彼の過去に触れることが何だか感慨深いし、私なんかが来てもよかったのかしらといささか緊張する。

「毎年クリスマス会にボランティアで来てるんだ。」

「へぇ~。」

そうか、クリスマスの用事ってこのことだったんだ。
大事な大事な用事。
私の誘いが断られても文句は言えないや。
サンタクロースの衣装に扮した紅林さんを見て、私はストンと納得した。

子供たちに笑顔でプレゼントを渡す紅林さん。
そのプレゼントには、私が作ったシュトーレンも加えてもらった。
子供たち、喜んでくれるといいなぁ。
それに紅林さん、子供に対してはあんな風に優しく笑うんだ。
慈しむような、優しい顔。
またひとつ、素敵なところを見つけちゃったよ。