『侑月・・・本当に悪かったと思ってる、

ごめん。』



頭を下げれば許される訳ではない・・・

解ってはいるけれど、俺は精一杯謝罪の意味を込めて

目の前に座る侑月に、深く頭を垂れた。



『綾香さん、って言ったよね?』



ぽつり・・・と
いつもと同じ穏やかな口調で、侑月にそう聞かれ

俺は、視線が合わせられないまま、小さくうなだれた



『綾香は、取引先の会社の受付嬢なんだ・・・』



営業に通う先で知り合った綾香

綾香に誘われて会うようになった、去年の秋頃を俺はぼんやりと思い出していた

積極的で華やかな印象の綾香に言い寄られ、大事な恋人を裏切った自分

大学卒業をきっかけに付き合いを始めた侑月は、純粋で真っ直ぐで・・・


本当に、“大事な人”だったのに・・・


傷付けて別れて、それで漸く大事だったことに気付くような俺



『すごく・・・綺麗な人だったね。』



侑月は、そんな事を思う俺に気付くことなく



『素敵な人』



と綾香を誉めた。

受付嬢を勤めるだけあって、容姿は確かに一級品かもしれない綾香

ちやほやされることに、どこか慣れている節もあって