“こんな連絡貰ったからって、どーしろってんだよ俺に・・・”


正直、知らずに済んでれば・・・と
携帯を切って、俺は目を伏せた。


多分、“和真”は、彼女にとって特別な存在。

本当に、今、二人が会っているのなら
邪魔なのは、俺の方かもしれない。



『見になんか行けるかってんだよ・・・』



さっきまで感じてた空腹も、それどころではなくなり

俺は、ムシャクシャする気持ちを抑えて
歩いていた道を戻り始めた。

彼女の部屋に灯りが灯っていないことに気がつき
本当は、駅まで出て、侑月を待つつもりでいた俺・・・。


でも・・・



『カズマが居るんなら用ナシじゃん、俺』



虚しさ一杯で辿る帰り道、2月の空は暗いけど澄んでいて、刺すような寒さ。

俺は遠い空を見上げてひとつ、大きな溜め息を、吐いた。