“♪〜〜♪〜〜”



携帯の呼び出し音が鳴って、俺は慌ててポケットの中に手を入れた。



『げっ!泉?!』



仕事の帰り道

ディスプレイには、週末でもないのに不吉にも泉の名前・・・。



『な、何?』



慌てて通話ボタンを押して電話にでると、何時になく上機嫌?な泉の声が聞こえてきた



『よっ、シュウ!

あんた今どこよ?』



いつもながら
自分の用件最優先な泉にそう聞かれ



『どこって、仕事帰りだけど?』



暗い夜空を見上げて、俺はそう、返事をした



『あっそ。家じゃあないのね?家じゃ!』



『まだ外だけど?』



俺の返事に、泉は待ってましたと言わんばかりに話を始める



『あたしさ、今幼稚園の近くにいるんだけどさ、
見たのよ、ゆづ先生と彼氏らしき男!』



『はぁ〜?』



侑月と自分がつき合っているなんて・・・
泉にバレたらどんな邪魔をされるやら?と
兄貴の家では一言も口にしたことなど無かったが・・・



『男?』



侑月の男は俺だぞと、言ってしまいたい気持ちを抑えて

泉のセリフに首を傾げた



『駅の、改札横のカフェ!

ゆづ先生、めちゃめちゃイイ男と一緒だったわよ?

あんた、なにボヤボヤしてんのよ?

好きなんじゃないの?ゆづ先生のこと』