『侑月が最後にしたいって言うならそれでもいいから・・・』
ほんの少し前まで愛していた筈の和真の
初めて聞く細い声に、あたしの心がかすかに揺れた
『お願いだから』
踵を返してゆっくりと歩き始めた和真の背中を
あたしは、言葉が見つからないままに、ただ眺める
一歩、足が和真の後を追った。
言い訳でしかないだろうけど、聞いてみたい気がした
あたしでは駄目だった訳を・・・・
後をついて歩き始めたあたしに、和真はすこしだけしほっとした様子で表情を和らげ
駅ビルの中にある、カフェの名前を挙げた
そんなあたしと和真を、見ていた人がいたなんて・・・
その時のあたしは、まるで思ってもみない事だった。