『もう、会いたくない』


これが最後。

あたしは、和真の強い眼差しを振り払い、駅へと向かって歩き出した



『待てよ!』



和真の横を通り過ぎようとしたあたしの腕が、その大きな手に絡め取られる



『止めて!』



思わず大声が出て、あたしは精一杯和真を睨みつけた



『ごめん、でも聞いて欲しい・・・

頼むから、時間をくれないか・・・』



掴まれた腕が解かれて

あたしは無意識に腕を引き、彼を見上げた



『頼むから・・・』



懇願するようにあたしに向けられた和真の目は、予想外に頼りなくて

あたしは、じっと和真を見返した



『侑月を傷つけたこと、悪かったって思ってる

10分でもいい、話がしたいんだ

謝りたい。』



和真は、そう言って深々と頭を下げると、じっとあたしの目を見つめた。