侑月の寝室で、めちゃくちゃ幸せな時間を堪能しているところに


“♪〜〜”


突然終わりを告げるかのよう鳴りだした俺の携帯

最近知った、着信音使い分けの機能で
すぐに気がつくように設定してある

ベートーベンの“運命”



『ヤバい!泉だ!』



ガバッと飛び起きて、ジーンズのポケットを慌てて探る



『ごめん!拓海“母”』


ぽかんと見上げる侑月の隣で、慌てて通話ボタンを押すと
当然のように、携帯の向こうから泉の怒鳴り声が聞こえてきた



『アンタ一体どこ行ってんのよっ!?

寂しいだろうと思ってわざわざチョコレート届けてやってんのにさ!

今すぐ帰って来いっ!』


“ブツッ”



俺の言い分など一言も聞く気のない泉に、一方的に電話を切られ

毎度のように耳に届く
“ツーツーツー・・”



『マズい・・・ 』



極力冷静になって考えてみる

“届けてやってる?”

“帰ってこい?”


ということは・・・

今、泉がいるところは俺んちの玄関っ??


侑月と付き合っていることなど、まだ一言も泉に言ってない俺・・・