午後8時。


ようやく1日の仕事を終えたあたしは

ひどく疲れた気分で幼稚園を後にした。



掃除、洗濯、雑用・・・

幼稚園の仕事は、可愛い子供達と接するだけじゃない
裏方の仕事だってたくさんある。

お制作の時間に子供たちが書いた絵を、古いものと張り替え

教室のお掃除、タオルの洗濯

今日は月一の身体測定日だったから
園児の記録簿に二十四人分の記録を書き写す作業なんかもあったりして


雑用をやり終えて気がつくと
もう、外は当たり前に夜・・。


二月の真っ暗な夜空の下を、あたしはようやく駅へと向かって歩き出した



『はぁぁ・・・』



“夕飯、出来合いのものにしちゃおっかな・・”


今から買い物をして帰った所で、今日はもう、作る気力もない。


“駅地下のお弁当やさん、今ならまだ開いてるかも”


不本意ながら、そんな風に自炊放棄を思い立ったとき

ふと、前方に人の気配を感じて、あたしは足を止めた。

街灯に寄りかかり佇む男性・・・あれは・・・



『和真・・・?』



そこには確かに

あの日以来、一度も連絡をとらないままでいた和真の姿があって

あたしは、そんな彼との突然の再会に驚いて目を見開いた。