ロールキャベツにサラダにスープ。

温かい食卓を二人で囲むのも、もう数回目



『デザートはコーヒーとケーキだよ』



テーブルの真ん中で甘苦い香りを放つ、柊の為に準備したケーキを指差した

日本中で、どれだけのカップルが、甘い一時を過ごしているのだろう

ふと、先日会った和真を思い出した

綾香さんと、仲良く過ごせてたらいいなって、そう思った。



『あのね、柊、これ。』


食事が終わり、ケーキを切り分けた後、あたしは準備していた包みを柊へと渡した



『へ?何?』



包みを手にして、きょとんと首を傾げる彼に、開けてみてと伝えてみる

意外に慎重派な柊は、包みを丁寧に開けると中から濃茶の手袋を取り出した。



『編んでみたんだけど、よかったら使ってください。』



『えっ?これって編んだの!?』



すっげーなぁ、を連発しながら
柊は嬉しそうにその手袋に手を入れる。


この間借りたマフラーと同じ色合いの手袋は、柊の柔らかな印象にとてもよく似合っていて


あたしは、柊の前髪にそっと手を伸ばした