柊は不敵な態度でそう言ってのけると

くるりとあたしの方へと向き直り言った



『ゆづ。

ゆづの事、大事にすんのも、幸せにすんのも俺だって

ちゃんと覚えとけよ』



思わず顔が真っ赤に染まるような・・・
そんな恥ずかしい台詞を柊はさらりと口にして



『そーゆー訳だから

もう、勝手にゆづを攫うな!』



行くぞ。

見ると顔を赤くした柊が、勢いよく立ち上がってあたしに手を差し伸べる


この手に、いつも助けられてるんだって、嬉しくて

じんわりと視界が歪む



『おい、コラ、んなとこで泣くなよ?』



柊は、自分の首に巻かれていた濃茶のマフラーを慌てて取ると、

それを広げて、あたしの頭をすっぽりと包み込んだ



『ゆづの泣き顔も俺だけのだし・・・』



あたしの耳元で柊が笑う


『ごめんね、和真。

思い出、色々ありがとう』



ぐいと手を引く柊に、

あたしは慌ててそう和真に告げた。



『帰るぞ。』



有無を言わさぬ強い腕に引きずられ、あたしは和真と店を後にした。