中身は決して侑月の足元にも及ばない女

涙を浮かべて走り去った侑月の姿に
勝ち誇ったように笑みを浮かべた綾香を思い出す



“本当に綺麗で素敵なのは侑月の方だよ”



そんな言葉が喉から出掛かってぐっと息をのんだ

今頃気がつくなんて、俺は本当に最低な男

今更だけど、あの時、熱に浮かされたように綾香の手を取ってしまった自分に腹が立つ

テーブルの下、俺は固く拳を握った



『なぁ、侑月』



じっと彼女の瞳を見つめると、侑月はまた真っ直ぐな目を俺に向ける



『俺は、こんな事最低だって解ってるけど

やっぱり侑月が好きだ』


この2ヶ月近く、ずっと心に引っ掛かっていた思い

やっぱり侑月と一緒に居たいと強く願う



『俺ともう一度やり直せないか?侑月』



思わずテーブルに身を乗り出して侑月に問い掛けた



『和真・・・ごめんね、
あたし、もう和真とはやり直せない』



はにかみやで、どちらかというとはっきりとものを言わなかった侑月が

意外にもキッパリとそう言ってのける。