それからしばらく無言だった。
風の音と
木々のさざめきしか聞こえなかった。
世界に2人だけしかいないみたいだった。
気づかぬ間に世界は滅びてしまって
実は僕達が最後の生き残りなのかもしれなかった。
世界の最後は
こんなにも静かなのかもしれなかった。
「私らが住む場所はさ、
結構田舎だけど
こんなに綺麗に星空は見れないよね。
明かりがないところだと
こんなにも輝いていたんだね」
僕は千代の顔をこっそり覗き見た。
憑き物が落ちたみたいに
すっきりとした横顔をしていた。
千代の目に星が映りこんでいる。
鏡みたいに。
そのせいで
すごくキラキラした目をしているように見える。