「ううん!違うよ!

陽にはアリバイもあるし!」


千代が振る手をとめて
目を伏せた。


「でも、その、私は、ちょっと


あのラクガキに
ありがとうって思ってるから・・・」


僕は足をとめる。


昨日見たラクガキを思い出す。


人間に傷があったイラスト。


それはどことなく千代に重なった。


千代があのラクガキに感謝する意味を
僕はだんだんわかってくる。


そうだ、僕には
やらなきゃいけないことがあった。


千代を楽しませなくては
今年の夏休みを一生後悔する。


僕はラクガキ犯と共に
千代を救うんだ。