「そうなのか・・・?

うん、ありがとう。
見間違えだったのかもしれない」


千代のお父さんは
1人納得するとすぐこの場を去った。



太陽がとぼとぼと歩く僕の右側を焼いた。

まるで僕に罰を与えているようだった。




「ねえ、あのラクガキ、誰だと思う?」

千代が控えめに言った。



「陽に似てる人って誰だろ。
そんな人いないよね・・・」

千代の声は暗くなかった。


「千代、もしかして僕を疑ってる?」

返事がすぐに返ってこなかったので
思わず振り向いた。


「疑ってるの?」