僕がそんな風に思うからか
千代と僕の関係の全てが
奇妙に空っぽで
抜け殻みたいだった。
お互いに壁を感じて
変によそよそしくて
気を遣いあった。
✲*゚
僕達の家に後少しで着く頃
「ねぇ、ちょっといいかな?」
僕達の中の誰のものでもない太い声がした。
青いワイシャツ
肩には飾り
胸にはワッペン。
声をかけてきたのは
千代のお父さんだった。
「お父さん・・・」
千代は僕が初めて見る表情をした。
今まで見た覚えがない
なんとも形容しがたいが
少なくとも笑顔ではないそれを
僕は風にゆらぐ水たまりのようだと思った。