ゴムの風船を噛んだ時みたいな
不快な味が口の中に広がった。
ごめんなさい。
そんな言葉が一緒に出てきそうだった。
✲*゚
千代の手提げ袋が宙を舞う。
一瞬だけ空の太陽を隠してから
落ちてきた。
「うえーい!
拓海パス!」
「ナイスキャッチ!」
拓海と俊太と透が
三角形を作って僕を囲む。
「おい!
返せよ!千代のだぞ!」
「遊んでるだけだって
ほら!」
頭の上を通過した手提げ袋を
目で追ったが
足はついてこなくて
僕は尻餅をついた。
「わ!陽!大丈夫?」
千代が三角形の中に入ってくる。
「ねえ、陽。
いいよ、もう」
「いいって、なにが?」