僕は隣に佇む千代を見ると

千代は小刻みに震えていた。


そして震えた声で話した。


「私ずっと気になってたの。

なんでラクガキなんかに警察は
毎日遅くまで働いてるんだろうって」


千代はこの先を言わなかった。

ただひたすらに
怒りに満ちた目をしていた。



そりゃそうだ。


僕もふつふつと怒りが込み上げてきた。


頭ががんがんする。


僕は何度か深呼吸してから
千代の手を引いて
その場を離れた。




僕達はこの後の遊びの約束を
しなかった。


お互い沈黙を守って

「バイバイ」

とだけ言って解散した。