第2話

「はじめまして。私は、キサラ。あんたの裏の人格よ」

「キサラ?裏の人格?意味がわかんないんだけど…」

「…あんたは、私の事は、知らないようね。でも私は、あ?たの全てを知ってる。ずっとあんたの中から見てたから」

「…」




「お姉ちゃん…お姉ちゃん…起きて」

さきは、妹の声で目が覚めた。

「ここは?」

「はぁ?何言ってるの?家に決まってるじゃん」

家?そんなはずは…

取り調べの後、重い精神疾患と診断された私は、裁判で無罪になり、病院に拘束されてたはずなのに…

もしかして私は、夢でも見てるの?

それを確かめるために、自分のほっぺをひねってみる。

「いてて…」

姉の行動を不思議そうに、眺め妹は、足早に、部屋から出て行った。

「お姉ちゃんが馬鹿になったー」

と余計な一言と共に…

あの事件こそ夢?

しかし夢にしては、あまりにもリアル…

じゃあここは、異世界?

「頭大丈夫?」

カチーン。

「ちょっと、あんたさっきからケンカ売ってるの?って…えっ?」

声のする方を振り返ると、先程夢に出てきた自分に瓜二つな美少女が立っている。

「あなた確か…」

「そうよ。あんたの裏の人格」

先程夢に出てきた、さきの裏の人格を名乗る美少女。

キサラが目の前に立っている。

「えっ?何で?なんで現実に居るの?」

混乱するさきの問いかけにキサラは、冷静に答えた。

「私は、あんたの裏の人格で同時にあなたの生霊でもあるの」

「えっ?じゃあもしかして私が家に居るのもあなたのおかげ?」

「そうね…」

何故か悲しげに答えるキサラ。

「なんかわかんないけどありが…」

そこまで言いかけた時に扉が開き、妹が飛び込んで来た。

「お姉ちゃん大変。大人の肉食少女が発生したらしいよ」

えっ?肉食少女って何?てか、キサラのこと見えてないの?

「へー、大変ね」

適当に返事を返す私を妹は、睨みつけてきた。


これは、何かあるな…


そう思い、キサラの方を見るとキサラは、気まずそうに目を逸らしている。

「えっ?何?」

「何?じゃ無いよ。お姉ちゃんが肉食少女達を退治するって条件で病院から出たんでしょ?」

いやいやいや…

心臓を食べるような方達を倒す?

ありえないでしょ?

「…キーサーラーちゃーん」

さきは、キサラを睨みつけた。

しかし妹から見れば独り言を言ってるようにしか見えない。

「…お姉ちゃん…幽霊にでも話しかけてるの?」

不安そうに話しかけてくる妹…

その通りだよ…

言えないけど…

「おまじないだよ」

そう言って私は、部屋を出た。

肉食少女なんてどうやって退治すればいいんだー。

てか、肉食少女ってなんだよ?

この時の私は、自分が最初の肉食少女だと気づいてなかった。

そして、この世界に肉食少女が生まれた理由さえも…