「昔いっぱい失敗した賜物です」
「そうなの?」
今日は、朝からゆるゆるな先輩だな
最近真面目モードな先輩が多かったから
少しホッとする。
「先輩が焼いておいてくれたので、すぐに食べられたんですよ? ありがとうございます」
「えへへ、オレでも作れてよかったぁ」
昨日の今日だと緊張して
上手く話せなかっただろうし。
て言うか、先輩がご飯作るなんて
どうしちゃったんだろう?
「……」
パンケーキを頬張って
ふと、時計を確認すると
10時を回っていた。
えっ?
起きてからそんなに経ってないよね?
アタシ、そんなに寝てたの?
疲れて帰ってきて
抱きついて泣き叫ばれて
朝ごはんなし
これは、本当に申し訳ない時間だった。
「……可児先輩、すみませんでした」
昨日といい、朝ごはんといい……。
謝った途端、先輩の人差し指が
鼻をつぶすような勢いで
アタシの口を塞いできた。
へ?
「由似ちゃん、オレに謝るのしばらく禁止ね!」