静かな、先輩の声にゾッとした

 本当に笑えない奴だ。




「……」




 自分だけは違うかも知れないなんて

 思い上がっていたわけでは

 全然、なかったけれど。



 まさか、自分に

 来るもの拒まずな言葉が来るとは

 思っていなかったから……。




「……」




 この人の怖さを思い知らされる。




「先輩? 冗談がきついですよ? 初心者のアタシが先輩と付き合ったら瞬殺で捨てられちゃいますから、お断りです」



「え~、何ソレ……」



「今までの彼女さんたち、何十人見てきたと思ってるんですか? 見てるだけでも、正直しんどいンですから」




 自分がその立場とか、考えたくもない。



「……ん~? あれ? 伊織に聞いたって……、言ってたよね?」



「聞きましたよ、全部鵜呑みにするほど、お花畑じゃないですよ? アタシ」



「あ~、……そっかぁ、……残念、由似ちゃんならいいと思ったのになぁ」




 そう言って、くすくすと先輩は笑う。