でも、それで

 先輩の時間を頂いていい理由に

 はならない……。




「体の傷みたいに、治ったのがすぐ分かればいいのにね、トラウマ的なものは本当にわからないから、オレなんて突然牡蠣であたって、その後食えなくなったし」



「そんな事、ありましたね……」




 あの時は、悠人先輩と貴梨香と

 4人で大慌てで救急車呼んで

 大変だったな……。




「ダメだったものが、大丈夫になる事もあるし? 時間がかかるのは仕方ないと思うから、もう少しの間だけ、由似ちゃんは他人に甘えてみてもいいと思うよ? いつもは全然甘えないんだから」



「今回は、甘えさせてもらっていますよ? ……アタシ、先輩にもう、返し切れないくらいたくさん貰っています、これ以上先輩の大事な時間まで奪えないです」




 可児先輩は、急に可笑しそうに

 笑い出した。




「……」




 全然笑う所じゃないんですけど?