「……」




 可児先輩は

 とても不機嫌な時にする

 無表情な顔で、山角さんを見ていた。




「……」




 き、気まずい空気と

 逃げられないこの立ち位置。



 ここに居たくないよ……。



 助けて、の意味を込めて

 貴梨香と悠人先輩を見ると

 2人は大袈裟にため息をついた。




「山角さん、今はミーティング中だから後でやってくれる?」




 トントン、と

 指で会議テーブルを叩いて

 悠人先輩は、山角さんを注意する。




「……は、い、……すみませんでした」




 山角さんが、力なく頷いて席についた。




「あのっ、玉井さん! 今までありがとうございました、オレこれからも頑張るので見守っててくださいね!」




 いっ? 何でここにいる?

 ち、近い、……よ?



 ホッとしたのもつかの間

 目の前に、いつの間にか来ていた

 海老君の両手が差し出されていて。




「……」




 思わず固まってしまう。