「えっ?」



「普通に降りたはずの彼が、急にエレベーターに戻って来て、……わたしに、視線だけで誘われたと、……使われていない部屋に連れ込まれる所、でした」



「―――…っ、えっ?」




 わたしの二の腕を

 つかんでいる加藤部長腕から

 彼が固まっているのがわかった。



「か、会社で、……こんな風になるの、初めてで、どうすればいいのか! 加藤部長が、偶然居合わせなかったら……、わたし」




 お酒も飲んでいない

 仕事中に襲われるだなんて

 考えただけでも恐ろしい……。


 さっきの事を思い出して、つい

 感情が高ぶってしまい涙があふれて

 また止まらなくなった。




「……本当に、加藤部長の言う通りで、……もう、わたし、こんなんで大丈夫かな?」


「……っ」



 直後…―――



 彼の腕に力が入って、強く胸の中に抱きしめられた。