わたしは、止まらない涙と震えるカラダを
ギュウッと自分で抱きしめながら
加藤部長の進む方へ一緒に歩いた。
誰もいない4Fフロアを
加藤部長に肩を抱かれたまま
猛スピードで歩く。
リーチの差が激しくて
転びそうになり、見かねた彼に
ひょいっと、抱き上げられた。
「……!? ……か、加藤、部長?」
あんまりにも驚いて
つい役職名で呼んでしまう。
ここは、会社ですよ?
誰かに見られたらどうするんですか?
「大丈夫、企画部には誰もいない」
そのまま、雑然とした企画部のフロアに入り
一番奥にあるドアまで行き
わたしを下ろしたかと思うと一緒に部屋に入り
バタンと、後ろ手にドアを閉め
ギュウッと、わたしを抱きしめた。
彼のスーツから香る
休日とは違う香水の匂いに
くらくらした。
「……何があった? さっきの、他社の営業だよな?」