軽く会釈して
彼が降りたのを確認してから
わたしは、エレベーターに乗り込む。
何気なく4Fを押して一息つくと
えっ?
降りたはずの他社の営業さんが
方向転換して
エレベーターに乗り込んできた。
「……お姉さん、スゴイね」
「……!?」
顔の近くで響く声
真横から、壁ドンをされているみたいで
もの凄く距離が近い事に
恐怖を覚えて、カラダが固まる。
「視線だけで誘われたの初めてだけど、一瞬でコレだよ?」
耳元でこう囁かれて
何を言っているのかわかりません!
と言いたいけれど
真横から腰辺りに当てられた
彼の固いものにビクッとした。
やだ、……真っ昼間のしかも会社内で
まさか
目が合ってすれ違っただけの人に
こんなことをされてしまうなんて
泣きそう……。
怖くて、カラダが震えだす。
「……この会社、誰もいない部屋とか、ないの?」
「……っ」