幸い、家族の方はまだ

 帰って来ていないみたいだし

 わたしは、このまま退散すれば

 波風立たないですむかな?




「じゃあ、わたしは帰りますね」



「えっ? 一緒に食べませんか? せっかく作ったハンバーグ」



「えっ? でも……」




 もう19時を回っているし

 食べさせたい人の為に作ったのでは?




「美味しいか、確認して料理は終了ですよ?」



「……」




 もっともそうな事を言われてしまい

 仕方なく、わたしは

 自分の鞄を置いた。




「では、頂きましょうか?」



「貰い物の赤ワインがあるので、いかがですか? 赤なら冷えてなくても飲めるし」




 食器棚の引き出しから

 小さめのボトルを出して

 加藤部長は、わたしに見せる。



 ハンバーグに赤ワインは

 なかなか嬉しい。



 最近、飲み会行ってなかったしな……。




「そうですね、……せっかくだから、頂きます」