それにしても

 奥さんに怒られないだろうか?



 一軒家の、こんな綺麗で

 素敵なアイランドキッチン。



 家族に食べさせるための

 教える名目とは言え

 見ず知らずの女と一緒に

 立ってほしくないのではないのかな?



 わたしが奥さんだったら

 嫌なんだけど?



 そんなわたしの気持ちなどお構いなしに

 玉葱のみじん切りに格闘している加藤部長。



 わたしは、仕方なくため息をついて

 一応、ハンバーグに合わせた

 サラダとスープを作るために流しを借りた。



 そして

 数時間後…――



「す、スゴい、俺でも出来た!」



 嬉しそうに目をキラキラさせた加藤部長が

 わたしを見る。


 一応試作の為、1つずつ焼いて

 盛り付けてみた。

 残り4つは、ラップして冷蔵か冷凍で

 家族に食べさせることも出来る。



「良かったですね」



 これで、わたしのお役も御免かな?